賃貸物件にインターネット導入は必要?費用・回線・選び方を解説
2026.05.03
今回は、賃貸物件へのインターネット導入についてお話しします。
家主さんの中には、
「インターネット無料を導入した方がいいのかな」
「でも、一度入れると毎月の費用がかかるし、どうしよう」
と悩まれている方もいるのではないでしょうか。
インターネット設備は、一度導入すると、何年にもわたってランニングコストがかかります。毎月の費用負担を重く感じる家主さんも多いと思います。
また、入居者さん全員が必ずしも「インターネット無料」を求めているとは限りません。
今は多くの方がスマートフォンを持っています。携帯電話の契約とセットでインターネットを使っている方もいますし、自分の好きなインターネット会社を使いたい方もいます。
つまり、物件に無料インターネットを導入しても、入居者さん全員が必ず使ってくれるとは限らないということです。
それでも、当社としては、賃貸募集の面ではインターネット導入はおすすめしています。
理由の一つは、ポータルサイトで「インターネット無料」にチェックを入れて掲載できるからです。
お部屋探しをしている方は、条件を絞って検索することが多いです。そのときに「インターネット無料」の項目にチェックが入っているかどうかで、見てもらえる機会が変わることがあります。
実際に入居後にどれだけ使われるかとは別に、募集時の見え方としては意味があります。
業者さんを選ぶときに見るところ
導入すると決めた場合、次に悩むのは「どこの業者さんを選ぶか」です。
まず気になるのは、やはり費用面だと思います。
毎月のランニングコストが数万円かかるとなると、家主側の負担は小さくありません。できれば費用は抑えたい。でも、安いだけで品質が悪いのも困る。
このバランスが大切です。
当社として見るポイントは、まずその会社がプロバイダーとしての役割を持っているかどうかです。そして、どの回線事業者の回線を使っているのかも大切です。
インターネットは、ただ建物に線を引けば終わりではありません。その先で、どれだけ安定して処理できるかが大切です。
プロバイダーさんによっては、使える回線事業者が決まっている場合があります。ある回線事業者のグループ会社であれば、その回線しか選べないこともあります。
一方で、複数の回線事業者から選べるプロバイダーさんもあります。
これが大事なのは、エリアによって回線の混み具合が違うからです。
あるエリアでは、特定の回線が混雑していることがあります。その場合、別の回線事業者を選べるプロバイダーさんであれば、混雑を避けられる可能性があります。
反対に、一つの回線しか選べない場合は、その回線が混んでいても切り替えができません。
IPv4とIPv6について
インターネット回線には、IPv4回線とIPv6回線があります。
今の主流はIPv6と言われることが多いと思います。特に、回線が分岐していくような形であれば、IPv6の方が合っている場合があります。
一方で、業者さんが独自に回線を直接引いてくる場合は、IPv4でも問題ないことがあります。
つまり、IPv4だから悪い、IPv6だから必ず良い、という単純な話ではありません。
大切なのは、その物件にどのような回線が入ってくるのか。そして、建物に入ってくる時点で、どれくらいの速度が出ているのかです。
導入前には、
「この物件では、IPv4とIPv6のどちらを使用しますか」
「どこの回線事業者を使っていますか」
「建物に入ってくる時点で、どれくらいの速度が見込めますか」
と確認しておくとよいと思います。
回線は分岐して建物まで届いている
インターネット回線は、基地局のようなところから建物まで、一本の回線でまっすぐ届いているわけではありません。
途中で少しずつ分岐しながら、各建物へ届いています。
たとえば、最初に4分岐し、そこからさらに分岐して、最終的には32分岐ほどになることがあります。
つまり、1棟の建物に回線が引き込まれる前の段階で、すでにいくつかの分岐を経ているということです。
そのため、同じ回線事業者でも、エリアや建物によって混み具合が違うことがあります。
早い段階の分岐で比較的余裕がある場合もあれば、すでに多く分岐した先で混雑しやすい場合もあります。
このあたりは、家主さんが外から見て判断できるものではありません。
導入前には、
「このエリアの回線は混雑していませんか」
「混雑している場合、別の回線に切り替えできますか」
と確認しておくと安心です。
1棟1ギガシェアプランとは
賃貸物件向けのインターネットでは、「1棟1ギガシェアプラン」という形が多いと思います。
また、業者さんによっては「1部屋1ギガプラン」という言い方をされることもあります。
言い方だけを見ると、違うもののように感じますが、基本的な考え方は近いと思います。
「1棟1ギガ」と聞くと、たとえば30室の物件であれば、
「1ギガを30室で割るの?」
と思われるかもしれません。
でも、そういう意味ではありません。
1Gbpsの回線が建物まで来ていて、それを各部屋で使えるようにするという考え方です。部屋数で単純に割って、1部屋あたり何Mbpsと決まるわけではありません。
ただし、1Gbpsプランだからといって、常に1Gbpsの速度が出るわけではありません。
これは戸建てのインターネット契約でも同じです。1Gbpsと書かれていても、実際に1Gbpsそのまま出ることはほとんどありません。
実際には、建物に入ってくる時点で300Mbpsや400Mbps程度の場合もあります。場合によっては、100Mbps程度ということもあります。
これは、回線の混み具合だけでなく、業者さん側の設備やサーバー側での制御によっても変わることがあります。
同じ「1Gbps」と書かれていても、実際にどれくらいの速度が出ているのかは、会社さんによって違います。
一般的な使い方であれば、100Mbpsでも使えないわけではありません。
ただ、賃貸物件で無料インターネットとして提供するのであれば、できれば300Mbpsから400Mbps程度は欲しいところです。
導入前には、
「建物に入ってくる時点で、どれくらいの速度が見込めますか」
「各部屋では、どれくらいの速度が出ていますか」
と確認しておくとよいと思います。
1Gbpsで足りるのか
では、1Gbpsで十分なのかというと、一般的な賃貸物件では、十分な場合が多いと思います。
5Gbpsプランや10Gbpsプランというものもあります。ただ、通常の使い方であれば、そこまで必要ないことも多いです。
インターネットで調べ物をする。
テレワークをする。
動画を見る。
オンライン会議をする。
こういった使い方であれば、1Gbpsプランでも十分対応できることが多いです。
もちろん、非常に重いオンラインゲームをする方や、特別に高速な回線を必要とする方もいます。
ただ、そのような方は、ご自身で個別にインターネット回線を契約されることも多いと思います。
家主側としては、すべての入居者さんの特別な使い方に合わせるというより、一般的な生活に支障がないかどうかを基準に考えるとよいと思います。
グローバルIPアドレスがあるかどうか
これから大事になってくるのは、グローバルIPアドレスがあるかどうかです。
IPアドレスというのは、簡単に言うと、インターネット上の住所のようなものです。
1棟プランの場合、マンション全体には住所があっても、各部屋ごとには住所がないような形になっていることがあります。
では、なぜ各部屋の住所が必要になるのでしょうか。
理由の一つは、これからIoT家電が増えていくからです。
IoT家電というのは、インターネットにつながる家電のことで、インターネットを通して操作できます。
IoT家電を使うときには、その機器をきちんと判別する必要があります。そのため、部屋ごとにIPアドレスがないと、うまく動かない場合があります。
もちろん、すべてのIoT家電が使えないわけではありません。
アプリを使って直接通信するタイプであれば、問題なく動くこともあります。
一方で、ブラウザを使ってインターネット業者さんを通して接続したりする場合には、住所にあたるIPアドレスがないと、うまくつながらないことがあります。
今までは、インターネットというと「速度が速いかどうか」が重視されてきました。
もちろん速度も大切です。
ただ、これからは速度だけではなく、各部屋にグローバルIPアドレスがあるのか、IoT家電に対応しやすい仕組みなのかも、判断材料に入れていく必要があると思います。
最後に
インターネット無料は、今の賃貸募集では一つのアピールになります。
ただし、一度導入すると、毎月のランニングコストが続きます。
同じ「1Gbps」で契約していても、実際の速度は会社さんによって違います。回線事業者を切り替えられるかどうかも大切です。
そして、これからはグローバルIPアドレスの有無も見ておきたいところです。
金額だけで決めるのではなく、入居者さんが使いやすいか、未来のインターネットの利用の仕方も考えることが大切だと思います。
